HOUSE NATION

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INTERVIEW

Marshall Jefferson interview 2007.6.24
シカゴハウスのゴッドファーザー。ハウスの歴史を語る上で欠かすことのできないDJ&プロデューサー。80年代前半、彼がまだ若かりし時代はまだハウスミュージックと言う言葉すら存在しなかった。彼が針を落としたレコードが、プロデュースする曲がハウスミュージックと名づけられ、20数年経った今でも愛される音楽となっている。新しいものをその手で作り上げ、新しいカルチャーが生まれてくる興奮のど真ん中にいたアーティストがこのMarshall Jeffersonである。

─今回で何度目の来日ですか

2確かこれで3度目だよ。

─日本の印象は?

電気製品の技術が素晴らしいよね。今回はプレステ3を買うつもり(笑)アメリカにもあるけど、どこに行っても売り切れ。それに、日本で買えば、アメリカでもイギリスでも使えるからね。

─あなたはハウスミュージックのパイオニアの一人と言われていますが、ハウスができた当時のシーンや出来事、思い出に残っていることがあれば教えてください。

始めたころは毎週5〜25枚リリースされていた。今となっては30,000枚位出てるでしょ?僕の所には毎週600のデモが届くし。とにかくレコードが多い!
昔は、全部のDJが同じヒット曲をプレイしてたけど、今はみんな違う曲をプレイするからヒットがない!
そしてアンダーグラウンドが消え、メジャーが力を持つようになった。昔は、ダンスミュージックはメジャーにとって脅威的な存在だった。数年に一回メジャーを押しのけるようなヒット曲が生まれたから。ロックンロールのエルビスとかもそうじゃない?でもメジャーがロックンロールを乗っ取って、徐々にポップなことをやる様になった。そしてその後ビートルズが出てきた。これは知られてない事だけど、ビートルズも始めはダンスミュージックをやっていたんだ。でも、またメジャーが乗っ取り、彼らもダンスフロアーを去った。そして、ディスコミュージックが来たけど、また同じこと(笑)そんな感じでメジャーは、シーンに変化を巻き起こすダンスミュージックがすごく怖かったんだ。
ラップやハウスの面白いところは、誰でも出来るってとこなんだよね。でしょ?みんな曲を書くけど、ヒットがない。でもそれよりもっとヒドイのは、ジャングル、ドラムエンベース、テクノ、コラージュ、ラップ…。これらは交わらない。テクノのクラブに行ったら、テクノ以外はかからない。ダンスフロアーが分かれたんだ。新しいダンスミュージックが登場しても、テクノクラブは受け付けないし、ハウスクラブも受け付けない。じゃあ、どこで新しいダンスミュージックをかけたらいい?プレイする場所がない!ダンスフロアーがとても閉鎖的だからね。とても形式的で、新しいものが入る余地がない!!バカ気てるよ(笑)でも真実だよ。
昔はひとつのダンスフロアーで色んな音が聞けた。でも今は同じ曲ばっかり、何遍も何遍もかかる。だからメジャーがこんなにパワフルなんだ。どうにも変えられない…!ダンスミュージックが出てくる場所がないし、ヒットも生まれない。最後に生まれたのは、ラップとハウス。それ以降は何も出て来ない。

─あなたにとってハウスミュージックとは何ですか?

フランキー・ナックルズがプレイしていたWAREHOUSEというクラブでかかる、あらゆる音楽。そのクラブでかかるあらゆる音楽が、僕にとってのハウスミュージックなんだ。つまり、最高のアンダーグラウンドミュージック。
彼はクラフトワーク、フィラデルフィア・ディスコ…ありとあらゆるダンスミュージックをかけたけど、最高のアンダーグラウンドミュージックだった。どれもラジオでは絶対かからなかった。…それが僕にとってのハウスミュージック。
ドラムエンベース、テクノ…。それが何であろうと、良い音楽でアンダーグラウンドなら、それはハウスミュージックなんだ。
またひとつのダンスフロアーで色んな音をかけることが出来たら、ヒットが生まれる。そうしたら、音楽を変えることが出来る。でも全部が分かれてしまっていては、そのパワーは生まれないし、変化も起こらない。

─日本とアメリカやヨーロッパのハウスシーンの一番の違いは何だと感じますか?

アメリカにはアンダーグラウンドシーンがない。いくつかのゲイクラブがあるだけ。州によってはクラックハウスっていう法律があって、誰かがパーティーでハイになったらオーナーとかプロモーターは自動的に禁錮25年を課せられるんだ。だからプロモーターはすごく怖がってるし、大きなレイブもやりにくくなっている。
ヨーロッパにはクラックハウス法がないからOKだけど(笑)ヨーロッパでは、ダンスミュージックとプレスが分けられている。一回7枚レコードをリリースした時があったんだけど、全部違う種類のハウスミュージックとして認識されたんだ。単に一曲一曲を違う音にしたかったんだけど、「色んなジャンルを作るんですね」って。僕はただ自分の音楽をやっているだけだけど、勝手に色々分けられてしまう。
日本には、たくさん古いレコードがあるね。世界中のどこを探してもないものが、日本にあったりするんだ。一体どうやって手に入れるんだろうね(笑)本当に(笑)いきなりオリジナルのレコードがあったりするからね。だから日本に来ると沢山ショッピングをするよ(笑)日本人は、たくさんの音楽的知識を持っているね。

─サンデーアフタヌーンという日本ではとても新しいパーティーですが、企画やパーティーの印象を聞かせてください。

新しい企画を考えるのはいいことだよね。僕はどうやって今日のシーンで生き残るかを考えているよ。一箇所に留まりたくないからね。21年間DJをしているけど、自分の音楽に進化して欲しいんだ。だから今自分のレーベルを持っている。

─夜クラブに出てきにくい人にもハウスに親しんでもらおうという、サンデーアフタヌーンの時間帯に関してどう思いますか?

すごくクールだと思うよ。

─今後のリリースなどのニュースがあれば聞かせてください。

毎週末プレイしているから、一体自分のスケジュールがどうなっているのか正直把握しきれていない…。この15年間、週末がオフだったのは大体7回位かな。自分のスケジュールが複雑過ぎて、ニュースを覚えていないよ(笑)

─日本のファンに一言

日本は大好きだよ。僕を復活させてくれー!(笑)
クラブに行って「Marshall Jeffersonが聞きたいんだ!」って言ってくれ!(笑)
そうしたら僕はまた戻って来れる。で、もっと電化製品を買える(笑)